« 「溢れた月」2 | トップページ | 「溢れた月」4 »

2007.02.07

「溢れた月」3

かく言う 自分も、月とバナナの事情に詳しいわけではない。
僕はおじさんが何を話始めるのか
非常に興味深かった。
「バナナ採れないだけじゃ無いんだよ〜」
そうだ やっぱり何かあるんだ。

「切口から 月が溢れて来てるんだ、今。」
おじさんの話は続いた。
「だから ここで溢れてくるのを受け止めてるんだけど」
とおじさんが指差したのは 黒々焼けた 焼き芋の石が入った
荷台の上の箱だった。
「じゃ、この焼き芋は 月で出来てるんですか?」

この焼き芋がトロリと 甘くて美味しいのはそのせいだったんだ。
「そうさ。当分これを売らなきゃな。」
おじさんは さっきの芋の欠片の残りが 冷めたのを確かめて 今度はポケットから ふわふわした 黄金色のかたまりをそうっと出した。
「ほりゃ 冷めたぞ。食べろ。」
声を掛けられた 小さいかたまりは むくむくとほどけて
長く垂れる耳がでてきた。
出てきたのは 小さな兎だった。兎は 焼き芋を両手で抱えて
モクモク食べ始めた。
「月が溢れて止まらないもんだから コイツ、落っこってきちまった。」
おじさんは 兎の背中を指で撫でながら
焼き芋を食べ終わるまで見守っていた。

|

« 「溢れた月」2 | トップページ | 「溢れた月」4 »

コメント

そもそも焼き芋屋のおじさんって何者なんだろう
それがいちばんでっかい疑問だなあ
てっとりばやく解釈してしまえば
おじさんは「神」かなとも思うけど
どうもそんな単純なものではないらしい。。

しかし月が溢れるのを
焼き芋で受け止める…だとか
月が溢れて兎が落っこちてしまい、
そいつがおじさんのポケットから出て来る…だとか
すごいよ

おじさんの焼いた焼いもを食べた「僕」が
この後どうなるんだろうと
それも気に掛かる

これって出来上がったら
どこかに応募するつもりなのかな

投稿: nezimaki | 2007.02.07 18:14

え。。。。。何も考えてないよwww

投稿: ひょん | 2007.02.07 21:29

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/19705/13821184

この記事へのトラックバック一覧です: 「溢れた月」3:

« 「溢れた月」2 | トップページ | 「溢れた月」4 »