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2007.02.05

「溢れた月」2

「美味しい」 と僕は言ったが おじさんは黙って意味ありげに笑っていた。
不思議に思い改めて見返した顔は 見覚えがあった。
「あっ!バナナの。」
いつだか この辺りで バナナを売ってたおじさんに違いない。
「分かるかな。 君と話たくなってね。まあ 愚痴めいたことになるけど 他に話せる人間が そう 居ないから。」

「あ〜 そうなりますかね。」
月 がどうかしたんだろうか。おじさんはバナナ売りだったはずだ。
「お芋は 時期的に?」
「うん いや、あれ、バナナね 同業者の誰だか〜 欲が出たのがあって。 かなり深爪し過ぎちまったんだよ。」
ほらね。解らない話だろ?
おじさんのバナナは
満月に梯架けて 大きな爪切り鋏で 月の爪を切ったもの、なんだ。
それは ほんの一寸ずつだったし、爪が直ぐ落ちて手に入る訳でも無く、遠い島でバナナに 育つまでには時間が要った。
でもこの話は内緒。
世の中、何のヘンテツも無いものが それだけどういう訳か美味しいとか、 些細な事に 心打たれるって言うのには 案外こんな仕掛けがあるのかも知れない。

しかし 深爪と言っても どう見ても今夜は満月だ。
「深爪が過ぎると 暫くバナナは 無理ですよね。」

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コメント

面白い、いたるところgoodだ。

爪切りで月の爪を切ってバナナって
発想だけでも面白いのに
深爪っていうのがさらに…

それでおじさん、今回はお芋ってことか。
また月に関係するんだよね。

まだここにきても先が読めない。
どうなるんだろう、楽しみぃ。

携帯電話からの入力だと
思いついた事を
ぽちぽち溜められるというメリットはあるけど
長い文章の入力が大変だね。

aUって
1万文字e-mailだと送信出来るよ。
僕の機種がwinだからなのかな。

投稿: nezimaki | 2007.02.05 14:58

私の携帯は1xってやつかな。。

投稿: ひょん | 2007.02.07 21:31

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