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2005.09.05

「木の人形」・1

森の真ん中に 少し開けた場所がありました。
そこには倒れた木の幹があり、木で出来た人形が、
腰掛けておりました。
一羽の小鳥がやって来て、人形の頭に止まって
大きな声で 囀り始めました。

「うるさい小鳥!!」人形が言うと、小鳥は
「おやまあ、生きてもいない木の人形に、動く事が出来るとはねえ。」
と、憎まれ口をききました。
「生きてるって、何なんだよ?だからどうだって言うんだい!」
「そりゃあ、あったかい血が 流れてるって事よ!
あんたには 無いんでしょうけどね。」
「血?そう、血があれば生きてるって言うんだね?」

 木の人形は、小鳥を掴んで捻り潰し、
手の平に血を受け止めてみました。
でも、すぐに血は 冷たくなって、人形の手から
地面に滴り落ちていきました。
するとそこに咲いていた花が 笑いました。
「馬鹿ねえ。ま、私には、ちょっとしたご馳走だったかしら。」
「君は?生きてるの?」
「ええ、もちろん! でも、血なんて流れていないわ。
流れているのは、水だけど 私は毎日伸びるし、
増えていくのよ。」
そこへ飛んできた虫も言いました。
「そうして、甘い蜜を出してくれる。僕はそれを食べるんだ。」
人形は、水も血も 流れていないし、
伸びたり 蜜を出したり 食べたりも、出来ません。

 「そうそう、兎に角!食べなくっちゃ。生きてゆけない!」
賑やかにやってきたのは、狸の親子でした。
「あんた、その小鳥、食べるつもりも無いのに殺しちまったのかい?!
もったいない!!私によこしなさいな!」
狸のお母さんは 木の人形から死んだ小鳥を
ひったくるように取り上げて 子供達に与えました。
狸の子ども達は喜んで、あっという間に食べてしまうと、
母さん狸に甘えています。
「お母さん 大好き。僕達、お母さんから生まれて良かったなあ。」
そして人形のほうを見て
「生きている物はね、お母さんから 生まれてくるんだよ。
君は?お母さんはいないの?」と聞きました。
人形はそんな事、考えた事がありませんでした。
                      (2004年3月)

(作品出品時に、一時下書き状態になっておりました。
 落ちてからもう、一年半経ちます。修正しながら
公開記事に戻します。)

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コメント

この、血が手の平を流れるシーン、
気が付かなかったですが
自分の手にブレーキ刺した時の「アレ」ですにゃぁ・・

暖かいのもが流れてくるけど、
何だか膝のところがぐっしょり冷たいと思って
見たらキュロットが血染め。向う脛が痛かったので傷口を探すも、見つからず・・・ふと手の平をみるとぱっくり開いていたという、あの痛い事件ですよ~

投稿: ひょん | 2005.09.05 12:09

ひょんさんの描くものをここで発見すると、瞬間湯沸し器のように反応して、すぐにトラックバックをかけてしまおうとします・・・・今回もまた(恥)・・・・許せ!

投稿: nezimaki | 2005.09.05 16:18

はい。。

投稿: ひょん | 2005.09.05 20:00

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