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2005.02.09

「チョウツガイ」

 久しぶりに帰った実家の自分の部屋は
使っていた時のままだった。
勉強机の上にちょこりと置かれた
白木の箱以外は。
 見たことも無い箱だった。
よく、高級な食器なんかが入っている
桐の薄い板の箱のような物だった。
 その箱の蓋の上の面に、黒い墨の
筆書きで 「ぱんどら」 と書かれているのが
どうやら読めた。

 何の冗談だろう?
まさか、パンのドラ焼きってことはあるまい。
それらしいイメージの器か何かかも知れない。
 僕がてを伸ばして箱に触れようとした時だ。
「あんた!開けるんですか?!」

 最初僕は、箱が喋ったと思った。
「あーワタシ、箱じゃあありません。チョウツガイですって。
いいなぁ。中、見るンでしょ?」
 そう言われれば、前側には留め金が掛けてあり、
後ろ側には蝶番がある。
こんな箱にしては、細かいくらいだ。
「『ぱんどらの箱』ですもん、開けてみたいですよねぇ。」
蝶番の部分から ふっと人の姿が半分抜け出してきて
勝手に話し込む。

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