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2004.10.31

「ブルー」

ここはいったい何処だろう?
霧雨の午後、見た事も無い電車の車内には
他に乗客もなく、僕一人だった。
窓の外は青くけぶって建物は無く寂しい風景だった。

僕はなぜ電車に乗ったのか、考えてみた。
そう・・ふらふらと家を出て 駅に来て、
券売機に千円札を入れたまま立ち尽くしていたんだ。
僕の顔を心配そうに覗き込んで、
分かったようにボタンを押した老人が、
ホームは八番だって言って・・・・・・
僕は見慣れない電車を見て、
これなら遠くまで行けそうだと思いながら
足を踏み入れたんだ。
それから、シートに掛けて眠った。
久しぶりに何処よりもよく眠れた気がする。

ほどなく電車は駅に着いた。
もう、終点まで来ていた。
開いたドアの青い景色からわずかに潮の香りがした。
そういえば僕は、券売機の前で訊ねられて
「海」と答えていたのをうっすら思い出した。

僕は誰も居ない小さな駅に降り、
無人の改札を出て歩き出した。
線路は浜辺に沿ってずっと走っていて、
黄色いバツ印の踏切が青い海に向かって立っている。
 海から?  海に?
何が渡るんだろうというような、不思議な景色だった。

どこもかしこも青く霧掛かった中を何処へとも無く
砂に足をとられながら歩いていると
ジリジリとネオンの瞬いているバーが
一軒だけ建っていた。
僕は少し疲れたのでドアを押し開けて中へ入った。

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コメント

   (余談ですが)
この海の踏み切り風景は、十年位前にちょこっと行った事がある
島原の海を元にしています。
でも、「千と千尋の・・・」を見た時は
びっくりしました。私もその絵、持ってるよーって。(笑)

で、そこに行った時、土石流で家が埋もれていて、
お城に、まだ、装甲車が止めてあったのですが・・
写真を撮ろうとしたら突然、フィルムが絡むか何かして
カメラが動かなくなり、
撮ったフィルムも全部駄目になってしまった。
すごーく何かを感じましたです。
写りたくない、形無い方々が沢山いらっしゃって
フレームから避け切れなかったのかなと
思っております。

投稿: ひょん | 2004.10.31 18:46

初めまして。《ミナソコノ住人》の甲斐ミサキと申します。
随分と以前に《ココログで読める小説群》にトラバを頂いていたのですが、うっかり気づいてませんでした。
ごめんなさい。
童話的な優しいお話が多いですね。
カテゴリ《小さいお話》に含まれる作品を、改めて掲載許可を頂けるようでしたら、これから登録していきたいと考えております。
それでは。

投稿: 甲斐ミサキ | 2005.01.29 15:43

あ!!
甲斐ミサキさま、ようこそいらっしゃいました。

お・・送りました んでした・・・粗末な物を送りつけっぱなしで、申し訳ありませんです。


>童話的な優しいお話が多いですね。

 優しいですか?こそばゆいです。(笑)
結構残酷なところもありますよね・・なんったって私は「昇り悪魔」ですから。

「小さいお話」というカテゴリに「メルヘン」と、(童話では無いんです。ショートストーリーと、似たようなものでしょうか?自分のなかでは「詩とメルヘン」の真似事なんですが)
ジョークの「小咄」が混在してしまってます・・

ですから、登録についてはミサキさまのお考えに
お任せいたします。

今後とも宜しくお願いいたします。


投稿: ひょん | 2005.01.30 17:13

こんばんわ甲斐ミサキです。
登録作業終わりました。お任せされたので、ご好意に甘えて好きにチョイスしてみました;
とりあえず、《ブルー》《月の爪切る男》《木馬》《ほらばなし》《欲張りな蟻とキリギリス》《帰れなかったシンデレラ》の6作品を。
短すぎて掲載は断念したんですが、ゴキブリがツボで、人知れず悶えてました。
……ごくろうちん(思い出し笑い

それでは、またお邪魔しますね。

投稿: 甲斐ミサキ | 2005.01.30 21:58

気が付いたら、ゴキブリネタ、二つありましたね。。。私ったら。


あ、あと、もしお時間がありましたら
月のお話を本部屋にまとめてきましたので
ご覧ください。

投稿: ひょん | 2005.02.01 13:31

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