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2004.02.23

「欲張りな蟻とキリギリス」

秋の終わりに ふらふらとさまよう 一匹のキリギリスを 自分の家に招き入れた蟻がいた。
仲間の蟻は、馬鹿にしたように笑った。

「なんでまた そんな厄介者を入れたんだい?餌だって我々が 冬を越すのにやっとだろ?
まさか、音楽が聞きたかっただなんて、のんきな事言うんじゃないだろうね?」

すると キリギリスを連れてきた蟻は 仲間をそっと別な部屋に引っ張っていってこう言った。

「まさか!!いくら何でもそこまで お人好しな蟻んこは いるまいよ。
まあ、見ていなよ。
私は、いざ食べるという時まで、新鮮さを保つ事が出来る食物を運んで来たって事なのさ。
そん時までは、音楽だって聴くことが出来るし、一石二鳥じゃないか。」

「なるほど・・そりゃ、有難いなあ。」

翌年の秋仲間の蟻は、そんな去年の話を思い出し早速キリギリスを探し始めた。
話は蟻から蟻へと 隈なく伝わり、みんながみんな それぞれのキリギリスを捕まえて・・
おっと、迎え入れたのでした。

さあさあどうぞと、連れてこられた 大勢のキリギリス達は、種類も 色も 形も 大きさも
何が何だか、いろいろあった。
それらが 我こそは一番に気に入られて、誰よりも優雅に暮らそうと
自慢のバイオリンを ぶんぶん唸らせた。

どうなったかって?
モーツアルトなんだか、ちごいねるわいぜんなんだか、カントリーなんだか、
タンゴなんだか、まあ、いろんなのを 一度にやったもんだから
全部の音が絡み合って、うねりを生じて 穴の中にいた蟻はみんな一度に死んでしまった。

やれやれ、欲張ったお陰で、だあれもいなくなってしまったんだ。


小雪が舞う 草原の隅で、小さな缶が転がる音がした。
缶の横腹には、こう書いてある。
 「超小型ロボットタイプ 超音波で、蟻を巣ごと退治!!!
    蟻が 運んで行きたがる キリギリス型ロボット採用!!
もうたまらない!!  ****アリノスキリキリ****」

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コメント

♪こんなこ~とって蟻か!

投稿: なお | 2004.04.10 12:02

コメントありがとうございます。

私のお話はいつもどこか影がありますです。

しかし実はHPのほうに、発想の元が同じ
「蟻ときりぎりす」のお話があるんですよ。
*蟻がきりぎりすを家に連れて来たのはその後
結局は、食べるためだった*
と言う・・・・

投稿: ひょん | 2004.04.11 11:40

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